6プラス.
 
              近衛氏の行動は素早い。
 
              人のこと即決即断とか言っちゃったくせに、自分はなんだっつーのよ。
 
              その手!どこ触ってるか!!
 
              直接触るには邪魔になった布団は、どこぞかに消えてない。
 
              キスに無駄な抵抗を封じられている間に、パジャマのボタンは全開しちゃってる。
 
              「ちょっとっ!悪かったてば、あんたにもちゃんと男の本能はあります。骨に刻ん
 
               だから、もうやめて!」
 
              首筋に降りてきた唇に、色っぽい気分になるどころか噴き出すのを押さえるのが精
 
              一杯だったあたしは、まだ近衛氏をなめていた。
 
              いつもと同じだって。本気で抵抗したら絶対無理強いはしないって。
 
              「やめるから、早希にはわからなんだよね。僕の本気は肌に刻んで」
 
              僅かの笑いも含まない、真剣そのものの声でようやく事態が理解できたんだ。
 
              これ、冗談じゃないって。あたし、近衛氏の地雷踏んじゃったみたい。
 
              「わっ!や、放して!!」
 
              胸の先端に、ぬるりと触れるものがある。歯を立てられてビクリと反応した体は、
 
              未知の経験に汗を噴き出した。
 
              胸元で蠢く頭を引き離しにかかると、伸びてきた腕が右手を押さえ込む。
 
              ばたつかせた足も、膝を割って侵入してきた近衛氏の体でさしたるダメージを与え
 
              ることができない。
 
              「ふざけないでよ!近衛氏、やめて!!」
 
              怖い…こんなに力の差があるなんて。意に反して押さえ込まれたら、自力で抜け出
 
              すなんて無理なんだ。
 
              チカチカと明滅する脳に、恐怖とは反対の快楽が浮かび始めてる。
 
              舌のなぞる肌がざわりと運んだ快感を、探る指先で確定づけていく近衛氏に次第に
 
              抵抗する力が失せるのだ。
 
              「はっ…んあっ!」
 
              おへその辺りを漂っていた指先が、ウエストを人なでして下着の中に入り込んだ。
 
              触らないで!そこはダメだって!!
 
              「濡れてるよ…」
 
              スルリとなめらかな感触は、近衛氏の囁きを裏付けて一気に血が全身を駆け上る。
 
              「言うな!…もう、やめてよぉ…」
 
              視界を歪ませた水分が、目尻を滑って落ちた。
 
              イヤだって言ってるのに、近衛氏が止まることはない。
 
              熱くなった体を持て余して、首を振っても見てもくれない。
 
              強引なやり方で、快楽だけを与えられるなんて屈辱。
 
              これ以上やったら口聞いてやらないんだから!
 
              「泣かないで、早希」
 
              いつの間にか這い上がった近衛氏が、涙を舐め取る。
 
              唇にその味を移しながら、ゆっくり舌が口内を動き始めた。
 
              宥めるように優しく、あたしを怯えさせることがないようふわりと。
 
              「…近衛氏が泣かせたのに…」
 
              遠ざかる柔らかさに、僅かの未練を残しながら呟くと、珍しく困った顔の天使がい
 
              た。
 
              「ずっと我慢してたからね、押さえが効かなかったんだ」
 
              「我慢…してたの?」
 
              全くそんな素振りなかったのに。
 
              意外な告白に問えば、バツが悪そうに逸らされる視線。
 
              そっか、近衛氏も人間だったのか…いや男だったのか。
 
              あたしに女の魅力とやらがないせいで、食指が動かないのかと思ってた。ちょっと
 
              安心したぞ。
 
              「それなら、許してあげる。理性より本能が勝ること、あるよね」
 
              単純に浮上したあたしは、まだまだお子様だ。
 
              大人には裏がある。近衛氏には裏どころか真っ黒な海溝がある。
 
              にっこりと見慣れた悪魔がお目見えした時は、遅かった。
 
              「まだ、本能が勝ってるから」
 
              終わりじゃないの?!続くの、これ?!
 
              さっきは近衛氏にも余裕がなかったんだと気づかされるほど、触れる指は巧みで、
 
              唇は底意地が悪かった。
 
              胸に指を遊ばせ、唇で肌をなぞる一方で、下着を剥ぎ取った手はそのまま水気を帯
 
              びた場所を探る。
 
              「やっ!…あ、うっ…!」
 
              まともな言葉なんか、発するコトができるもんか!
 
              意志に反して反応する体に、恨み言を吐いたって理性を剥ぎ取る巧みな指先がある
 
              限り無駄なんだ。
 
              「った!」
 
              ぬかるみに潜り込んだ指が起こす痛みに、抗議の眼差しを送るけど、ばっちり合っ
 
              た視線は楽しげに揺らぐだけ。
 
              「ごめんね」
 
              ちっとも謝ってないです!だって、指抜いてくれないじゃない。
 
              苦痛を違う場所の快楽で誤魔化して、どんどんエスカレートする動きに次第にむず
 
              痒い気持ちよさが生まれてくる。
 
              「ふっあ…ん」
 
              げ、なんだこの声!
 
              「ここがいいの?」
 
              聞くな!うあーん、何度も同じ場所で指動かさないで。おかしくなるよぉ。
 
              情けないかな、酔っぱらったように歪む思考にあらがいきれなくなった頃、襲い来
 
              る痛みに脳がチカチカと危険信号を発した。
 
              「何すんの!!」
 
              「ちょっと我慢してね」
 
              笑顔はいらないって。そうじゃなく、やめれって言ってんの!
 
              「そんな顔しないで。一度は通る道なんだから」
 
              今じゃなくてもいいでしょうが!この先長いんだからさ。
 
              でも、やめそうにないんだよね。少しだけ苦しそうな表情で、ゆっくりと確実に押
 
              し入る気満々なんだもん。
 
              「ひ、避妊!男の責任です!」
 
              せめて、それはお願いしたいです。高校生で妊婦さんは洒落になんないです。
 
              「結婚してるんだから必要ないでしょ。責任能力も十分あるしね」
 
              状況にそぐわない会話を打ち切るように、一気に腰を進められて悶絶。
 
              「………っ!!!!」
 
              叫べればちょっとはすっきりしたんだろうに、思わず食いしばった唇からはうめき
 
              声しかでなかった。
 
              痺れる痛みをやり過ごそうと体を硬くした耳元に、吐息混じりの注文が吹き込まれ
 
              る。
 
              「力抜いて、食いちぎられそうだ…」
 
              「できるか!!」
 
              必死なんだぞ、こっちは。じーっと大人しくしてるだけでいっぱいいっぱいだって
 
              ーの。
 
              …あ、でも平気になってきたかも。痛いには痛いんだけど、しのげる程度にはなっ
 
              た。よかった、アレが続いたらどうしようかと思ったよ。
 
              「落ち着いた?」
 
              鼓膜に響く叫びにもめげることなく、至近距離の近衛氏が微笑んだ。
 
              「ちょっとだけ…」
 
              返事は触れるだけのキス。
 
              身勝手な男だけど、密着した素肌は気持ちよくて、遠ざかることをゆるさじと伸ば
 
              した腕で引き留める。
 
              「…離れてかないで」
 
              首筋に顔を埋めて、照れくさい言葉を吐いたら痛いくらいに抱き返された。
 
              「ずっと側にいるよ」
 
              囁き声が心地よくて、何だか少し、泣けた。
 
 
 
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                  ムードもへったくれもないな、こいつら。
                  闇に堕としてまでお笑いを書く意味はあるのか?
 
 
 
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