17.
 
             冷たいシーツを心地良いと感じる頃には、息は上がり頭の芯が霞に覆われたような奇
 
             妙な浮遊感があたしを支配していた。
 
             髪に指を差し入れ貪り尽くすようなキスを受けながら、胸の頂きを摘む指先に背を逸
 
             らす。
 
             「あ…やあぁっ!」
 
             鼻に掛かった自分の声もどこか艶めいて、熱い。
 
             「そこばっかり…やめて…」
 
             触れられるたび下腹部に起こるむず痒いような感覚に耐えられず、見下ろしてくる陰
 
             った瞳に懇願した。
 
             「どこならいいんだ?言ってみろよ」
 
             「…っ!知らない!!」
 
             いじわる、いじわる、いじわる!!
 
             口にできないのわかってて、ひどいこと言う。
 
             浮かされた顔で、口元を歪めて、真剣な顔で。
 
             「愛してるって言ったのに…初めてなんだから優しくしてよ…」
 
             確かめ合うんだと、一つになろうと囁いたくせに、さっきから嬲る指先は肝心なんと
 
             ころに触れてもくれないなんて、泣くわよ。
 
             「優しいだろ、繭の望みを叶えてやりたいだけだ。ほら…言えよ」
 
             顔中にキスの雨を降らせながら、克巳の声こそ絶えられないほどの焦燥を含んでいる
 
             と気づいた。
 
             ゆっくり愛し合うのは、つらい?あなたはどうしたいの?
 
             「克巳の…したいようにして。好きなだけあたしを狂わせて」
 
             全て受け入れるから、言外にそう告げると驚いた表情が見えたけどそれは困惑に固ま
 
             って切なげに頬が歪む。
 
             「壊しちまうだろ…俺は手加減できるほど余裕がない。すぐにも中に入りたいんだ」
 
             かき抱く腕の強さに想いの深さが表れて、納得した。
 
             手に入れたいのだ、何もかも。溺れたいのだ、互いの中に。
 
             「…痛い…?」
 
             許してあげたいけれど、知識が心の邪魔をする。
 
             話に聞いてた激痛に、耐えられるかな…一体どれくらいのものなのか見当もつかない
 
             し。
 
             戸惑いに躊躇するとスルリと足の付け根に指が差し入れられた。
 
             「えっ、待って!」
 
             「まだ、だな…」
 
             「ええっ、え…やめ!」
 
             止める暇もなく押さえつけられた太股の間に克巳の頭が潜り込み、敏感に反応する花
 
             芽を舌先がそっと刺激する。
 
             「あ、ああ!」
 
             ぬるりと滑る感触に大げさなほど体を跳ね上げ、潤んだ泉の中に侵入した指に内壁を
 
             なで上げられ悲鳴じみた叫びを上げた。
 
             「痛むか?」
 
             話し声に揺れる微かな空気の振動さえ過ぎた快感を呼び覚まし、激しく首を振るのが
 
             精一杯の意思表示。
 
             「狭いな…」
 
             呟いて再び花芯に唇を寄せた克巳は、水音を響かせながら確認するように指を徐々に
 
             増やしていく。
 
             「あんっ、いや、やあぁ…」
 
             知らない感覚、初めて感じる異物。沸き起こるのは舞い上がるような快楽ばかりで、
 
             僅かにも痛みはない。
 
             だから尚更頭はスパークして、上り詰める自分を止めることはできなくて。
 
             「克巳、変!おかしくなる!!」
 
             必死に抵抗しようと乱暴に髪を掴むのに、指の動きを激しくした彼はとろける甘い声
 
             であたしを白い世界に突き落とした。
 
             「いけよ、我慢すんな」
 
             音を立てて理性が切れる。呼吸さえ忘れて引きつる手足を強く克巳に絡め、恍惚に溺
 
             れる。
 
             白い視界に写るものはなく、余韻に痺れる頭で酸素を求める本能にのみ従う。
 
             「繭、俺を見ろ…」
 
             どこか遠い声に虚ろな瞳を向けると、優しく微笑む人がいる。
 
             震える腕を伸ばして引き寄せると、薄く開いた唇で今一度互いを繋いだ。
 
             汗ばむ肌はしっとりとして、触れ合った場所から混じり合い接着剤の如くあたしと克
 
             巳を貼り付けていく。
 
             「ん…い…」
 
             微かな痛みと凌駕する圧迫。ゆっくりとけれど確実に一つになる体。
 
             「つらく、ないか?」
 
             「へい、き…」
 
             克巳の方が苦しそう。手のひらに伝わるこわばりが、彼が全身を緊張させてるって教
 
             えてくれるもの。
 
             苦しいけれど、きついけれど、嬉しい。
 
             一つになるって、与え合うってこんな感じなのね。
 
             「大好き、克巳。愛してる…」
 
             もうずっと、あたしの一番だった人。誰にも替えは効かない人。
 
             「ダメだ…今言うなよ。押さえ、らんねぇ…」
 
             謝罪にも似た言葉を最後に、堰を切った激しさに翻弄されて。
 
             漂う海は荒れ狂っていた。
 
 
 
だーくへぶん  だーくのべる  
 
 
           逃げよう…そうしよう。                             
               限界っすね、この程度が(笑)。                           
 
 
 
             
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