5.「馬鹿も休み休み言え」ボタン&純太



のらりくらりと逃げるのも、限界かな?
目の前の顔、すっかり獣みたいになっちゃってるもん。ギラギラしちゃって、なんかやばげ。
「あ、の、先生?」
散らかった部屋で一歩近づかれたら、伸びてきた腕を逃れる術はない。
ちゃんと掃除しといてよ!私が苦労するでしょ?…先生は好都合だろうけど。
そもそもうっかり男の人が一人暮らしするアパートに踏み入れたのがまずかったのよね。
春が近くなって浮かれてたのも良くなかったし、珍しく理性的な先生に油断したのもいけない。
「…純太」
低い声が鼓膜を揺らして、頬に触れる呼気が熱かった。
二人でいるとき先生は、名前を呼ばないと怒るの。呼びかけても返事してくれなくなっちゃうし。
「純太、くん」
呼び捨てるなんて無理で、家中の男の人にしてるのと同じ君付けが精一杯。
それでも満足そうに小さく笑うと、彼は触れるだけのキスの後やっと焦点が合う至近距離で望みを吐き出す。
「俺、いい子にしてただろ?」
先生でいるうちは絶対しないって約束を守ったことを、聞いているのだろうコトはわかる。受け持ちの生徒がいるのに途中で学校やめちゃダメってお願いも、ちゃんと守ってくれた。
一番大事な私が卒業するまではも、我慢してくれたしね。
…昨日、高校生じゃなくなっちゃったけど…。
「してたよな?」
わざわざ確認取らなくたって、聞こえてます。恐ろしい勢いで詰め寄る必要も、なし!
「してた!先生は、偉い!!」
「…二度目だぞ。お仕置き、けってー」
ああ、そんな棒読みで…!
いきなり深いキス、雑誌や脱ぎ散らかされた衣服の上に遠慮なく押し倒されて、
「痛いよ、先生」
「あー、俺の情熱は過激なんすよ」
ちょっとくらい、気にしてよ!
…て、無理か。すっかり、エッチモードだもんね。耳元で銅鑼が鳴っても気づかず続行しそう、そんな雰囲気。
悔しいなぁ、このままじゃ流される。
あっちこっちで沸き起こる快感の波に、引き込まれる。
「結婚するまで、待ってよ」
それは、ちょっとしたイジワル。ただ翻弄されるのが悔しくて、抜き差しならないとこまで行ってるのに悪あがき。
「馬鹿も休み休み言え…」
簡単にいなされちゃったけどね。


NOVEL

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