9.「ああ、なるほど」アスカ&青
 
       「わかんないな」
 
       ぬくぬくとその腕の中、甘えながらの疑問。
 
       「なにが?」
 
       砂糖菓子より甘い恋人は、遙かに年上のくせにどうして不思議に思わないんだろう。
 
       「あーちゃんの周りには、アスカよりきれいで大人な女の人がいっぱいいるのにどうしてそ
 
        っちに行かないのかわかんないの」
 
       「なんだ、そんなこと」
 
       ぺったり張り付いて座ったソファーの上、簡単だよと笑った人は、吐息と一緒に殺し文句を
 
       ささやいた。
 
       「僕にとってアスカ以外は女じゃないからだよ」
 
       それは毒にも似た、強力な拘束力で私を戒めるけどそれだけじゃないの。
 
       あーちゃんだけの問題じゃないのよ。
 
       「じゃあ、アスカは?同じ年の男の子だって充分魅力的だし、いっぱい告白だってしてくれ
 
        るのにどうしてあーちゃんだけなんだろう?」
 
       子供の頃から決めていたにしても、他に目がいかないって不健全だと思うんだけどな。
 
       素朴な疑問をぶつけたら、なんだかちょっぴり寒くなった。
 
       あーちゃんの目もキランて光った気がするんだけど…。
 
       「アスカは、僕より違う男の子といる方がいいの?」
 
       「ううん」
 
       これは自信を持って言えるわ。
 
       今までこの人より格好いい男の子に会ったこと、ない。
 
       「それなら、答えは簡単。アスカにとっても僕以外は男じゃないんだよ」
 
       「そっか」
 
       答えって誰かに言い切って貰うと、簡単に飲み込めちゃうもんなのよね。
 
       分かり切っていたことなら、尚更。
 
       「今度から、朝は学校に送っていくね」
 
       ヤキモチやきのあーちゃんのかわいらしい牽制は、私に楽をさせてくれるから、好きよ。
 
 
 
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